黒い目を形どった中に点々と図形が浮ぶ、音楽的な、とも感じられる作品の前で釘づけになった、
と竹内さんは駒井哲郎の版画の魅力を話す。駒井の作品と出会ったことで、駒井哲郎を核に長谷川潔
など、収集の世界も広がった。
もともと作家が版画制作を目的に作った、オリジナル性の高い作品は、洋・日本画の分野にも遜色
のない立派に独立した芸術品であると、竹内さんは力をこめて語る。
一般的な芸術愛好家の中にはまだまだ版画を軽視する傾向がありますが、たとえば、同じピカソの
作品でもオリジナル版画と、あまり力を入れて描かれなかった油彩画を比べると、オリジナル版画の
方が版画といえどもはるかに芸術性の高い価値あるものになります。また同等の芸術性があって、一
方は版画という技法で表現した五万円の作品、かたや油彩画で五百万円という場合、私は版画の方を
選択した、ということです」